小物に限らず「木」の場合は、防水・防腐・汚れ防止のために、塗装をほどこすことが多いと思います。
ですが、一方で、木の質感が失われたり、メンテナンスが必要になったりと、デメリットもあるのです。
そこで、今回は、木の小物を実際に塗装してみた実験結果について、記事にしてみました。
木に使う塗料について
私たち自身、長年、住まいに関する仕事に携わってきたので、「塗装」については、ある程度の知識は持っていますが、
木の小物を手作りするにあたり、塗料についても、いろいろと選択、実験を行いました。
まず、木に使う塗料として、
- 浸透するタイプの水性ステイン系
- 水性ウレタンやニス
- ミルクペイント
- 蜜蝋ワックス
の4つを候補にあげました。
が、私たちとしては、無垢の木の質感にこそ!こだわりがあるので、
木の表面に薄いプラスチックのような膜ができる、ウレタンやニスは選択肢からはずしました。
残ったのは、
- 木に浸透するタイプの水性ステイン系・・・木目がくっきりと出てナチュラルな見た目になります
- ミルクペイント・・・木目は消えますが、かわいいアンティーク調の色合いになります
- 蜜蝋ワックス・・・木目はもちろん、自然なツヤと撥水性があります
の3種類です。
実際に木に塗ってみました
木切れを使って、実際に色を塗ってみたのが、下の写真です。

もちろん、実際に作った物にも、塗ってみたのですが、一つ、気づいたことがあります。
それは、塗装をかけると、材木によっては微妙に薄汚れて見えてしまうという点です。
※濃い色の塗料の場合は、大丈夫ですが、薄い色の塗料の場合は、木の色と混ざって汚く見える場合があります。
上の画像は、すべて「ひのき」の端材を使っているため、わかりにくいかと思いますが、
この点においても、素材は「ひのき」もしくは、それに準ずる「白さ」を持つ無垢材が良い!
との結論に至りました。
また、無垢材の中でも「ひのき」は、木肌が本当に美しく、昔から日本人が大事にしてきた理由がよくわかります。
そのため、「ひのき」を使うのであれば、やはり、水性のステイン塗料(クリア)が良い!と当初は考えておりました。
塗装にはメンテナンスが必要
ところが、忘れてはいけないことが一つあったんです。
それは、どんな塗料を使ったとしても、塗装にはメンテナンスが必要だ!という点です。
実は、水性ステイン系と蜜蝋ワックスは、塗膜を作らないので、数か月ごとに塗り直すことが推奨されています。
また、ミルクペイントは、塗りやすい分、傷がつきやすく、はがれやすいというデメリットがあります。
※トップコートを塗れば、耐久性は上がりますが、木の質感は薄れます。
そんな折、ミニトラックのキーホルダーで行っていた耐震実験で、思わぬことが起きました。

何気なく見たトラックが、なんとなく薄汚れているのです。
このミニトラックには、水性のステイン系塗料(クリアー)をしっかりと塗装していましたし、車にぶら下げていただけなので、手で触ったりもしていません。
しかも、車内にぶら下げていたのは、わずか数日です。
いくら車内が過酷な環境だとは言え、クリア塗装の効果がこんなに早くなくなるとは思えません。
おそらくですが、「塗装」によって「汚れの付着が起きやすくなった」のだと思います。
実は、お部屋のリフォームDIYをする際、一番、簡単な方法が「天井や壁をペイントすること」なのですが、この方法の最大の欠点が、「汚れやすくなる」ことなのです。
塗装は、素材を保護するために行いますが、皮肉にも汚れが付着しやすくなることがあります。
敢えて、無塗装という選択もアリ
そんなことがあったので、もう一度、10年以上前に作成した「無塗装のおままごとキッチン」をチェックしてみました。
当初よりも、日焼けはしたものの、やはり、特に目立った汚れは見当たりません。
もちろん、置いておく環境にもよるのですが、改めて「無塗装」の力を、「無垢」の力を感じる結果となりました。
せっかく、国産材である「ひのき」を使うのですから、そこは、もう迷わず、「無塗装」の良さを存分に感じることのできる物を作っていきたいと思います。
ただし、インテリアとして「かわいい!」「すてき!」にするための「塗装」に関しては、今後もトライしていきたいです。